



「ボストンで一番お気に入りの場所」とSが自信をもって宣言するIsabella Gardner Museumへ連れて行ってくれた。・・・これは今までの人生で訪れた美術館のなかで最も印象的で個性的で、まさに「世界で一つ」の美術館かもしれない。
Boston Museum of Fine Artのほぼ道を挟んだ反対側に位置する私立美術館。その前に、はたしてこれを「美術館」と呼んでいいのかどうか、ちょっと迷う。Isabella Gardner Museumは20世紀の初頭、ボストン社交界でひと際輝いていたイザベラというお金持ちご婦人が、富と名声にものを言わせて世界各地から収集した美術・骨董品を、それらを収容・展示するため特別に設計された巨大お屋敷。イザベラ・ガードナー没後、一般にも公開されている。
外から見ると意外にシンプルな石造りの建物。しかし一歩中に入って息をのんだ。4階建ての大きな建物の真ん中はガラスの天井から自然光が降り注ぐ解放感満点の吹き抜け。真ん中の庭園を取り囲むように部屋が並んでいる。古代ギリシャ・ローマ、イスラム様式、中世ヨーロッパ、東洋、オリエントのテイストがまじりあう、ちょっと不思議エキゾチックな空間。リゾートホテルとはまた一味違った、世界中の「美」を我が掌におさめたガードナー夫人渾身の豪邸。そんなわけで、彼女の宝箱の中を探検しているような気持ちになる。
コレクター兼オーナー兼キュレーターもこなしたイザベラ。彼女の死後も、館内に所せましと展示された美術・骨董品と家具のすべてが、生前イザベラが自らの意志で置いたそのままで保存されている。360度どの方向に目をやっても、すべてのモノが何かしらの意味をもってそこに展示されている。しかし、イザベラはそれらの意味を生前誰にも語ることなくこの世を去った。案内してくれた職員いわく、その隠されたイザベラの意図をひもとくのが彼らの務めであり、この美術館で働く最大の喜びらしい。
イザベラ生前は、夜な夜なこの豪邸で豪華絢爛なパーティー催されていたらしい。月の光が天井から屋敷中に届き、エキゾチック&ロマンチックな庭園の噴水にろうそくの光が反射。その周りを着飾った紳士淑女が行き交う、、、なんて妄想が広がる、ほんとに、いくら見てても飽きない。しかし、博物館専門家の側から言うと、美術品の保存という側面ではまったくもって「最適な環境」ではないらしい。人がせわしく行き交った廊下にぶら下げられたタペストリーにはいたるところにシミがあるし、絵画も何十年もの間暖炉の煙を直に受けている。・・・美術館というよりは、「一個人の趣味・情熱が行きついた贅沢の極み」とでも言ったほうがよさそう。今でも毎週何曜日かの夜には、館内でコンサートを行っているらしい。彼女の人生そのものが非常に気になったのでショップで自伝を購入。
館内はすべて撮影禁止だったのでインターネットからコピーした写真を参考に。しかし、写真ではとても伝わりきらないこの空間美。ボストンを訪れる際にはぜひ足を運んでいただきたい。
0 件のコメント:
コメントを投稿