2010年11月7日日曜日

caron cooper's cooking class-2




今回レシピを紹介していただくのは、Fairy Cake、Apple Crumble、Lardy Cakeの3つ。

彼女の調理の特徴は、彼女のコレクションであるアンティークを調理器具が次々と登場し、実際にそれらを使いながら作ること。ヴィクトリア朝のハンドミキサーや1950年代の粉ふるいなど、どれも個性的アイテム。さらに調理器具ひとつひとつとの出会いのエピソードやお気に入りポイントも添えて。

FairyCakeは、普通のカップケーキよりもずっと小さいサイズで、上にアイシングのかわいいデコレーションがほどこされたケーキのこと。名前の通り、妖精のような、ちいさくてきらきらして軽い一口デザート。今回は、バターアイシングとグラッセシングの2種類を紹介。バターのほうはマットでふわふわしたクリーム状のアイシング。グラッセはレモン汁と砂糖をまぜたアイシングで、バターにくらべて乾くと表面が堅くキラキラとガラスのようになる。今回は卵白と砂糖でコーティングした食べられるお花の飾りをトッピング。どっちも食べるのがもったいないほどかわいい!!今イギリス本国では主婦の間でこのFairy Cakeを作るのが一大ブームになっているという。「景気が悪いときだからこそ、主婦は外でお茶するのではなく、家でお菓子を手作りして、お友達を呼んで、お金をなるべく使わず楽しい時間をすごそうとしているのよ。」景気が悪く世の中の空気はどよ~んと暗くても、食卓にこんなかわいいパステルカラーのお菓子が並んだら、キッチンは幸せで一杯になるだろう。

次はApple Crumble。言わずと知れたイギリス菓子の代表選手。あの甘味より酸味の効いたイギリスのりんごが、上に載せた甘いクランブルと添えられたカスタードクリームによく合う。私はさくさくのクランブルが湿ってしまう前にオーブンから出したてを食べるのが好き。りんごと言えば、キャロンさんのお庭には大きなりんごの木が5本もあるらしい。「今年は冬が寒かったから、例年の倍以上のりんごが生ったわ!あまりにもたくさんできたから、今年はりんご酒も大量生産することにしたの。」キャロンさんの暮らしは自然や季節との関わりがすごく大きい。都市に住んでビジネスで名声をなすより、田舎でつつましくも自然にあふれた生活をする方がよっぽど豊かだ、というイギリス人の根底にある価値観。キャロンさんはそれを体現したかのような人物。

最後はLardy Cake。これは作るのに通常3時間以上かかるため、今回は時前に作ったものを試食。イギリスのウィルトシャ―州に伝わる伝統的なお菓子らしく、名前のとおりラードが大量に使われる。・・・え、お菓子にラード?!というのも、この地方は養豚が昔から盛んで、加工後に余ったラードは庶民にとって安く大量に仕入れられる食材だった。そこで主婦たちはラードを使ったレシピをいくつも発明し、その中の一つがこのLardy Cakeというわけ。作るのを見ていると、え、こんなにラード入れるの?!と出来上がりの味を疑わずにはいられない。しかし、焼きあがりは思った以上にさらっとしていて、食べてみるとまったく脂っこくない。ドライフルーツとスパイスもたくさん入ってて、ちょっとクリスマスケーキっぽい。ひとスライスで一体何キロカロリー摂取しているのかはさておき、層になったふんわり生地とさくさくの表面がとっても美味でした。

お菓子を作り終えたところで、紅茶の入れ方レッスン。一番おもしろかったのは、紅茶をカップに注ぐ時'tea first or milk first'(ミルクが先?それとも紅茶が先?)という議論がおこったこと。まず、キャロンさんはいっつも紅茶にいつも「冷たい牛乳」を入れる。あったかいミルクを入れるのはコーヒーよ!と、このcold milkはどこでも絶対に引かない。そして、私はいつも紅茶の上にミルクをそそぎいれる、tea firstをやっているけど、え、そうじゃないの?!

実はそうじゃないんです。ミルクが先なんです。これにはちょっとしたエピソードがある。というのも、イギリスでアフタヌーンティーという習慣がはじまった当初、そんな優雅な風習を楽しめたのは貴族階級だけ。(そもそも当時は紅茶自体が高級品ですから庶民には手がでません。)貴族のご婦人たちは、ティーパーティの食器ににもこだわる。そして重宝されたのが当時の高級食器である陶磁器。みごとな装飾のほどこされた最高級ティーカップは、太陽にかざすと底が透けるほどに薄い。そんなカップを手にした婦人はある日カップの底が傷んでいることに気づく。そしてこれ以上カップにダメージを与えない方法を考えた。そうだ、冷たいミルクを先にカップの底に入れておけば、熱い紅茶が直接カップにあたらなくて済む!・・・こうしてミルクを先に入れる、milk firstの習慣がはじまったのだそう。

日本の茶道の楽しみはお茶の味以上に、使っているお道具にある聞く。有名な作家さんによる茶碗や御夏目、道具と掛け軸のとりあわせ・・・。茶道の作法もよくよく考えると、御道具をいかに大切に使うか、というモノに対する思いやりに所以しているところが多い。そして今回、イギリスの紅茶のたしなみにも、おなじようにモノにたいする思いやりから生まれたマナーがあることを知った。これは新たな発見!!国も言葉も違うけど、「お茶」というひとつの習慣を通してまったくおなじ哲学が存在するなんて、素敵なおどろき。

さて、こんなわけで、これから紅茶をいただくときにはぜひイギリス貴族の知恵'milk first'を実践してみます。

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