


今学期大学で受けてる授業の中でおもしろいものをひとつ挙げるなら・・・絵画表現論。
ほんとは造形芸術コースで絵を描くお勉強をしている人のための、制作活動を念頭においた絵画論。わたしちゃっかりもぐって受けさせてもらってます。
その授業で先日取り上げた画家が、石田徹也。
今まで彼の存在は知らなかった。残念ながら数年前に亡くなっているアーティストなんだけど、一度みたら忘れられない、シュールなリアリズムの作風。
グラフィックデザインの分野から出発した石田の絵画は、どれもインパクトとメッセージ性がある。現代社会に対する洞察力がものすごく鋭い。
全体的に灰色や肌色など、濁ったどんよりした色彩が多く、モチーフも、機械・サラリーマン・ロボット・・・などどれも冷たく無機的。
そしてなにより印象的なのは、彼の描く絵にかならず登場する、うつろな目をした青年。
写真2枚目、≪飛べたくなった人≫。廃材と化した飛行機に体を突っ込み両手を広げる人物。この寂しくうつろで空中をさまよう視線の先には何があるのか・・・。3枚目は、入社試験の様子。顕微鏡と化して受験者を観察する面接官。4枚目は、葬儀の様子。死体はまるで機械のように部品に分解され箱に納められる。チャップリンの『モダンタイムズ』を連想した。
石田は、資本主義や消費社会の危うさや人間性の欠如など、現代社会が抱える不安・孤独を真っ向から描いている。「ほんとうはこんじゃないのに・・・」という違和感、でもそこから逃げられない理不尽さ。石田の作品を初めて見た時、一瞬言葉を失い、まるでこれまで避けてきた落とし穴に落ちたような気がした。だれしもが笑顔の下で感じてはいるけど、言葉にしたら鬱になってしまいそうな、そんな現代社会の闇の部分が描かれているからだと思う。
生前の石田はとてもおとなしく静かで、とてもこんなインパクトのある作品を描くような人物には見えなかったという。工場や建設現場のアルバイトで食いつなぎ、その他の時間をまるで何かに取りつかれたかのように絵に費やしていた。石田は多分心がすごく繊細で感受性が誰よりも豊かな人物だったんだろう。感受性が豊かなだけに、人一倍に社会の不安や孤独や理不尽も感じていたはず。彼にとって絵は、社会に対する声にならない静かな叫びなのかもしれない。
石田徹也の絵画集は、ビレッジバンガードで立ち読みしてました。なんとなくだけど、現代の暗部が伝わってくるよな。
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