今日がオープニングのSimon Starling。イギリス出身のアーティストさん。
作品数はかなり少ない今回の展覧会。インススタレーションばかりなのでサイズは大きめですが。
しかも、初日の今日は、2時からサイモン自らによるギャラリーツアーがある!
ということで、アート友Mちゃんとやってきた。
作品そのものの美しさとか技術の高さ、というより、その「アイディア」や「コンセプト」、伝えたいメッセージが大きい。
「物事の裏側に秘められた歴史やエピソードを、丹念なリサーチから見つけ出し、異なる文化との邂逅や衝突、近代化のもたらす伝統との摩擦、移動が引き起こした様々な変化などを浮き彫りにしながら…」
と書いてありましたが、ほんと、その「アイディア」にたどりつくまでのリサーチの徹底ぶりといったら、学者顔負けです。
作品ですが、彼、環境意識が高い、と思われる。例えば、チェーンソーのチェーンを取りつけた自転車《カーボン》2006。森まで乗っていって、木を切って、積んでかえれる、という一石二鳥なチェーンソー。たしかに、チェーンソーというと「破壊」というイメージが強いけど、どこに置くのか、視点を一つかえるだけで、プラスなエネルギーを生みだすこともできる、というメッセージなのでしょうか。

そして、メインは、地下の部屋にある、《仮面劇のためのプロジェクト(ヒロシマ)》。
タイトル通り、これは一つの壮大なプロジェクト。
彫刻家ヘンリー・ムーアに関する、サイモンの膨大な調査研究に基づくプロジェクト。

「ヘンリー・ムーアと、広島市現代美術館が所蔵しているムーア作品を巡るさまざまな登場人物を、能の演目のひとつ「烏帽子折」の登場人物に重ね合わせ描き出した、新たなインスタレーション、映像作品。」
サイモンの解説を聞いて、彼のリサーチの入念さはもちろん、発想の豊かさと、モノとモノをつなげる、そのひらめきの鋭さにこころの底から脱帽。ヘンリー・ムーアから始まり、え、原子爆弾開発チーム?シカゴ?ヒロシマ?え、仮面?ジェイムス・ボンド?!え、能?「烏帽子折」?!なになに、冷戦構造?!
一見なんの関係もないひとつひとつの要素が、「仮面」というキーワードを通して、一つに丸くつながり、
冷戦構造と美術、広島の知られざる繋がりを浮かび上がらせる。
一人でボーと見ただけじゃぜったい理解不可能な、プロジェクトの奥深さをアーティスト本人から聞けて満足。行ってよかった~。(もし期間中に行かれる方、隣で流れてるビデオにかじりついてください。)
ギャラリーツアーの後、サイモンが「まだしばらくうろうろしてるんで、気軽に話しかけてくださ~い」って言うもんだから、遠慮なくアプローチ。
「仮面のプロジェクト、今後この仮面をかぶって、能の舞台演出をする計画とかないんですか?」
「いや、実は考えてるんだよ、舞台化。」
・・・英文学の授業で習ったけど、シェイクスピア劇と日本の能は、舞台のつくりがそっくり。
イギリス人である彼がその点に注目しないわけはないだろな。
大きな美術館にはない、アーティストと学芸員さんとオーディエンスの近さ。
ある意味すごく贅沢なひとときでした。
脳に刺激、送りまくりました。
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